石橋正一郎・江守哲の「世界が見えるコモディティ投資」
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第59回 株式投資のお供に...(江守)
2013年12月09日
今年も早いもので、12月になりました。今年のマーケットを振り返ると、市場環境に大きな変化が見られました。昨年までの欧州債務危機による欧州不安が徐々に解消される中、米国では景気回復基調が鮮明になりました。また不安視されていた中国経済も、市場の懸念とは裏腹に底堅さを維持しました。一方、大きな変化を遂げたのが日本です。昨年末の政権交代により、投資家マインドが劇的に変化し、株価は急伸し、ドル円相場も円安方向に進み始めました。「アベノミクス」とよばれる安倍政権の経済政策の進展により、「失われた20年」の終焉が現実のものになりつつあります。
景気・経済、さらにマーケットのサイクルを調べてみると、20年・40年で大きな変化が起きていることに気づきます。日本での資産バブル崩壊からすでに20年超、ドル円相場の円高基調の始まりから40年以上が経っています。市場構造が大きく変化し、それまでのネガティブなトレンドが転換するタイミングで誕生した安倍政権は、より積極的な政策を打ち出すことで、今後20年間の成長を創出することが可能な立場にあります。よほどの政策ミスがなければ、景気回復の実感を持てる、素晴らしい20年に突入することになりそうです。幸運にも、2020年には東京で夏季五輪が開催されることが決まりました。このようなイベントが、日本経済の構造変化を後押ししてくれることでしょう。さらに、これらの環境変化は株価にも好影響を与えるでしょう。20年超もの期間下落し続けた株価は、過去の事例からも10年程度は反発基調が続きそうです。その動きと同時進行的に、ドル円相場も同様に円安水準に向かうでしょう。そのため、景気や株価動向を見極めるには、より長期的な視点が重要になりそうです。2020年から2025年ごろまで、日本はまさに「素晴らしい10年」を謳歌できそうです。
さて、投資の観点からみると、今年の世界の株価の上昇は、投資家に大きな成果をもたらしたといえるでしょう。米国のダウ工業株30種平均は史上最高値を更新し、ナスダック総合指数も久方ぶりに4000ポイントを回復しました。株価動向をみる限り、先進国の米国に対する成長期待は大きいと言えます。欧州株の戻りも大きくなっています。債務危機から脱したと言える動きです。事実、一部の債務国では追加的な借り入れが不要になっており、正常化に向けた動きが着実に進行していることがうかがえます。リスクがあるように見えた欧州株への投資も、大きな成果を得る機会があったと言えます。問題は新興国です。経済の先行き不透明感が株価の不安定さにつながっています。コモディティ価格や通貨の下落が影響していると思われますが、市場の興味が低下している今が投資のチャンスなのかもしれません。個人的には新興国の動向に注目したいと考えています。
一方、コモディティについては、残念ながら上値の重い一年となり、投資成果を上げることが難しい年だったといえます。株価のパフォーマンスのよさとコモディティ市場の低迷により、投資家の興味は株式にシフトし、コモディティ市場からの投資マネーの流出は続いています。需給の緩和傾向もあり、価格が抑えられていることも投資家の興味を減退させています。しかし、本欄でも繰り返しているように、生産コスト面から下落余地はほとんどない、というのが私の見方です。あとは需給調整が進めば必然的に上昇に転じることになるでしょう。ただし、需給調整には数年間必要であり、価格が反転するのは早くて2014年後半、遅くとも2015年前半になりそうです。もっとも、景気拡大による需要増加ペースが予想以上であれば、その時期は前倒しされるでしょう。そして、2016年の「コモディティの4年サイクル」のピークに向けて、下値を切り上げる動きが顕著になるでしょう。私が想定する今後3年間のコモディティ投資における期待収益率は、最低でも20%、最大で60%です。今後3年以内にコモディティ市場にも相応の強気相場が到来するでしょう。ですので、株式投資のお供に、コモディティもぜひお忘れなく!(ただし、最終的な投資判断はご自身でお願いします)
私の本年の執筆は今回が最後です。少し早いですが、よいお年をお迎えください。来年も皆様にとって、よい年でありますように。
江守 哲
アストマックス投信投資顧問株式会社
コモディティ運用部・シニアファンドマネージャー
商社、外資系企業等を経て、現在まで20年超のコモディティ市場経験。
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