石橋正一郎・江守哲の「世界が見えるコモディティ投資」
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第58回 商品市場の成長戦略(石橋)
2013年11月25日
世界的な株価上昇が続いています。イエレン氏が米連邦準備制度理事会(FRB)議長に就任する見込みとなり、金融緩和政策の延長を期待してリスクオンモードになっています。
株が買われるのはインフレヘッジになるという理由もありますが、現在は商品市場は全般的に下落もしくは低位で横ばいですから、インフレを理由に切迫して最高値の株を買う必要はないように思います。
また、実体経済が良くなっているから株が上昇しているかというと、ここ最近の指標が良いわけではなく逆に米国金融緩和縮小(テーパリング)が先送りされる程冴えないものであり、これが理由ではなさそうです。ということは、やはり株上昇の理由は、単に余剰投資資金が投資先を求めて、株式市場に集中しているだけではないでしょうか?
指標が良化するとテーパリングが早まり、株は一時的であっても下落すると思われます。逆に、指標が悪く実体経済が冴えないと、金融緩和継続で株が上昇するという流れなのです。妙な話です。
通常、株価上昇=経済良化で商品需要も増えると考えられます。ところが、現状のように実体経済が冴えないと、資源や製品の需要量は簡単には増加しません。その上、ここ十数年の商品価格の上昇により、供給サイドへの投資は活発であったため、現在では供給体制は整っています。よって在庫や潜在供給力は十分であり、供給が需要を上回っている商品が多いと考えられます。ファンダメンタル面ではいい状況とは言えません。
投資面を見てみても、結局現状のファンダメンタルでは選ばれる状態とは言えず、投資資金の流入もあまり期待できません。個別株のスクリーニング同様、商品もスクリーニングされて落ち気味の状態です。これが株価上昇にもかかわらず、商品が下落もしくは低位横ばいの理由だと思います。ファンダメンタル面でも投資面でも上昇の材料が少ないという状況です。
さて、「供給が需要を上回る」という状態は、ここ十数年の日本ではよく聞いた状況ですね。総供給が総需要を上回り需給ギャップが広がった状態が続き、デフレとなりました。日本ではデフレを克服するために金融政策・財政政策・成長戦略の所謂「アベノミクス・三本の矢」戦略を実行してきました。
商品市場と日本を一緒にするのは乱暴ですが、この三本の矢のうち金融政策と成長戦略を商品市場に当てはめてみましょう。金融政策は世界的金融緩和で実行されており、商品市場には当初ポジティブに働きました。次は成長戦略=「実体経済の成長からの需要増加」が必要なのです。これが需給ギャップの解消につながり、商品価格上昇となります。逆に世界経済成長がないと、金融緩和だけでは今後は投資面でのプラスとはならず、供給の充実に作用してマイナスに働く可能性さえあります。
アベノミクスが成長戦略の成否がカギとなっているのと同じく、世界経済が低成長状態から脱却し成長へ向かうことが長期的な意味での商品市場上昇のカギになりそうです。その意味でも今後の経済指標、特に成長率関連に注目したいと思います。
石橋正一郎:
アストマックス投信投資顧問株式会社 コモディティ運用部長
商社にて商品取引に20年携わった後、2006年から商品投資顧問業に従事。
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